まじないの召喚師3
「お前らも、こいつの実力はわかってるだろ」
鼻を鳴らす先輩に、彼らはもちろん反対する。
「だとしても、認めるわけにはいかないな」
「その女を傀儡にする気なんでしょ」
「五家でもない者が出てくる幕ではない」
「こいつだって、同盟の一員だ。権利は平等に持ってるんだよな?」
先輩の悪どい笑みに、彼らは怯んだ。
たっぷりと間を空けて、深く息をついたのち、常磐が口を開いた。
「………分かった。決闘で決めよう。勝った方が班長だ」
先輩がにやりと口角を上げる。
完成から半日と経たず、地下稽古場の次なる使用が決まった。
稽古場とは名ばかりで、決闘ばかりしている現状。
いっそ名前を決闘場とでも改めるべきかと思ったが、決めるとこ決めたら、あとは稽古するだけ。
うん、そのはずだ。
子供達も起きたので、全員で稽古場に移動する。
初めて入る地下稽古場は、火宮家のものと比べて倍以上に広かった。
うちの敷地、こんなにあったっけ?
『地下だから、気にしないー』
ツクヨミノミコトは軽い調子で言う。
……ご近所さんに土地代払わないと。
でも、なんて説明しよう……。
『タケミカヅチとイワナガヒメも同罪だ。もしもの時は彼らの契約者にも責任を追及しよう』
私はまた頭が痛くなった。
『だいじょーぶ。地下とは名ばかりで、ここは別世界の遠くの空間なのである』
……それは、本当ですか?
相手は神様。
こちらの常識では測れない事も成せる者。
だから、簡単に嘘とは判別できない。
『さぁ? 知らなければ無いのと同じだよ』
………怖いなぁ。
私は深く考える事をやめて、目の前の相手に意識を向ける。
左から雷地、常磐、柚珠と並ぶ。
対するこちらも、私を真ん中に左が先輩、右が響。
3対3の構図ができていた。
すでに結託している私たちを倒す為、彼らは手を組んだのだろう。
私達が全滅した時、彼らは敵になる。
だからそれまでは協力体制をとりながらも本気は出してこないはず。
彼らが火宮陽橘のような、名ばかりの雑魚次期当主とは思わない。
絶対の自信と向上心、それに見合う努力もしている人達だ。
私のような一般人が、本来なら敵う相手ではない。
しかし、勝たねばならないのだ。
幸いこちらは面倒事を私に押し付けようとする、2人の協力体制。
向こう3人を倒したところで敵になることはないから、最初から全力で挑める。
勝機があるとすれば、そこだろう。