左小指のピンキーリングは素敵な恋を引き寄せる

遥海くんはキョロキョロと店を見渡して「今何時?」と聞かれた。


「もうすぐ3時です」


「あっ練習、やべっ……あの同じゼミの人だよね、ごめん!」



頭を下げられた。


あの遥海くんが私の事を知っていてくれたんだ、同じゼミって……


話したことないのに……


でも女子に文句を言ったから逆に覚えられてたのかな?


あの注意した出来事があってから話せる訳もなく夏休みに入っていたのだ。



注文書をさくらは取った。


「夏休み明けまで貸しね(笑)」


「ごめん!必ず返すから」



遥海くんは急いで店から出ていった。






夏休みも終わりに近づいた頃初めてのバイト代をおろして、時計を買ってもらった店にさくらは出かけた。


指輪を見ていると前に話した店員さんがいたのだ。


「いらっしゃいませ」


にっこりと微笑んでくれた。


「あの、ピンキーリングを合わせたいんですが」



ケースからいくつか出してくれた。


値段も色々あったが桜のモチーフのピンキーリングを選んだ。


もちろん名前がさくらっていうのもある。



「どちらの指にしますか?」



「左の小指で……」



店員さんに指輪をはめてもらいサイズを確認した。



「ピッタリですね」


「はい、これでお願いします」



保証書とケースを用意してくれている間、春に聞いた店員さんの話を思い出していた。



右小指は自己表現力をアップするとか、魅力を引き出したり、新生活で新しい人間関係を築きたいなら右に……



左小指はチャンスや幸運を引き寄せる、素敵な恋を引き寄せる、願いを叶えてくれるとかの意味があると教えてくれたのだ。



そして、左手の小指はチャンスや運の入り口なんですよと……


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