素直に好きと言えたら*遠回りな恋*
守谷くんが飲み物を買いに行っている間、麻里はトイレに行ってしまって。

ここに残されたのは私と斗真。

斗真は私に何か言いたげに 「あの、さ」 と繰り返して話が先に進まなくって。

私は何を言われるのか怖かったけど斗真の言葉を待ったの。

「あのさ、陽菜・・・。」

「うん」

やっと斗真が話しを続けてくれた。

「あのな。麻里にもずっと言われてるんだけどさ」

あ、やっぱり麻里とのことなんだね。

とうとう私は告白もしていないのに失恋するんだ。

今の今まで斗真と麻里が付き合えるように頑張ろうって思っていたのに。

斗真から麻里が好きだって聞くのが怖い。

2人に付き合って欲しいという気持ちと、斗真のことを好きな気持ち。

一体私は何がしたいんだろう。どうしたいんだろう。

さっき守谷くんに言われた「計算できなくて苦しくなる」ってこのことだったの?

「陽菜? どうした?」

斗真の顔をまともに見れず下を向いてしまった私を斗真が心配している。

「え? なっ、なんでもないよ。うん。斗真の話、聞くよ」

そう言いながら斗真に視線を戻すと、斗真は小さな息を吐いて静かな声で話し始めた。

「そっか。じゃあ話すよ。あのね、陽菜。俺と麻里だけどさ・・・」

斗真が一番私に言いたかったことを言おうとした時、タイミング悪く守谷くんが戻って来てしまった。

「羽瀬さーん、次何に乗るか決めた?」

「あっ、守谷くん。えっとごめん、まだ決めてないや」

守谷くんの方に振り向いて返事した後に斗真を見ると、斗真はもうその先を話す事をやめて自分の髪をグシャグシャっとすると

「陽菜、帰りに続き話すから」

私にしか聞こえない声でそうささやいた。

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