素直に好きと言えたら*遠回りな恋*

「ほぉー、羽瀬さんと2人きりで観覧車か。いいね羽瀬さん、積極的だな」

守谷くんが横目で斗真を見ながらそんな風に茶化して、一人先に歩き出した。

「ちょっと待って、守谷くん。間違えたの、観覧車じゃないの」

私の言葉を守谷くんは完全に無視して、

「羽瀬さん、早く行くよ。観覧車あっちだから」

守谷くんが歩いて行ってしまうからついて行くしかなくて。

「麻里、斗真、ごめんね。観覧車降りたらラインするからまた合流しようね。2人も何か乗ってきて」

「待てよ陽菜!」

斗真に呼ばれたけれど、私は守谷くんの後を追った。

「守谷くん! 待って。観覧車じゃなくてね、違うのにしない?」

守谷くんの後ろを歩きながら観覧車に乗るのを否定したんだけど、守谷くんは聞く耳を持ってくれない。

「丁度いいよ。羽瀬さんと2人きりでゆっくり話がしたかったんだ」

守谷くんが私に話って。

話なんて何もないもん。

観覧車に乗っている15分、きっと間が持たない。

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