素直に好きと言えたら*遠回りな恋*

「お、観覧車って空いてるんだな。さっさと乗るよ、羽瀬さん」

守谷くんは私の手を取り観覧車の中に誘導する。

観覧車の中では守谷くんと向かい合わせに座ったけど、気まずさから外を眺めたんだ。

「で、羽瀬さんは鈴鹿のことが好きなんだ?」

急に守谷くんに突っ込まれてびっくりした。

「すっ、好きじゃないよ。何を言ってるの守谷くん」

「ふーん。それなのにあの2人をくっつけようとしてるんだ。羽瀬さんってバカだろ」

守谷くん、なんだか失礼。

「あの2人は想い合っているのに私に気を使ってお付き合いを始めないの。だから私は・・・」

「ほんと計算できないな。好き同士だったら羽瀬さんのことなんて関係なく付き合うだろ」

それは守谷くんの言う通りなのかも知れないけど。

反論できなくて無言になっていると、

「どいつもこいつもなんで鈴鹿がいいんだよ」

私に掛けた言葉というより、独り言のように守谷くんがつぶやいた。

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