ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 何が彼の逆鱗に触れたのかわからずぽかんとしていると、そんな空気の凍った私たちの背後から突然カサリと落ち葉を踏みしめる音がして。
 その音に驚き慌てて振り向いた私の目に飛び込んできたのは、輝く銀髪に琥珀色の瞳が少し気怠そうなテオ師匠その人だった。

 
「し、師匠!?」
「訂正を求める。そもそも俺は置いて行ってはいないだろう」
「いやいやいや、置いて行きましたけど!」
「連れて行かなかっただけだ」
「それを置いて行ったというんです」
「そうか」
「興味なさすぎぃ!!」

 思わずそう叫ぶと、ふむ、と自身の顎に手を当てて思案した師匠はぐるりとあたりを見回してメルヴィをじっと見る。
 メルヴィも突然現れた師匠へじっと視線を向けており、その場がピリピリと張り詰めた。
 
“え、ナニコレ”

 何がなんだかわからず、だがこの居心地の悪さにじわりと冷や汗が私の額に滲む。
 口を開くことも躊躇われるようなこの状況を破るように、最初に口を開いたのは師匠だった。

「宿題はどうなった?」
「ぅえっ!? そ、そうですね、成功……した、ような?」
「俺はリリの魔法でリリを好きになったわけではないけどね」
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