ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「え……」


 相変わらず掴まれたままの腕を引っ張られ歩く。
 小さいと思っていた小部屋だが、どうやら奥に小さな浴室があったらしくあっという間に脱衣所へ連れ込まれた。
 
「ちょ、ちょっとメルヴィ」
「刻んでって言ったのはリリだろ?」
「それはそうなんだけど」

“だけどこんな、いきなりなんて……!”

 腕を掴んでいたメルヴィの力が弱まったと思ったら、すぐに私の服へと手を伸ばす。
 薬草畑で作業をする予定でエッダに出してもらっていた服は、汚れても構わない、そして汚れたら自分でも着替えやすいようにと簡単にかぶるタイプのもので。

「わ、待……っ」
「すごいね、こんなに簡単に脱がせられるなんてリリも期待してくれてたんだ」
「ちがっ」

 するっと一瞬で脱がされてしまった。
 剥ぎ取られるように下着もそのまま脱がされた私は、メルヴィに背中を押されるようにして浴室へと足を踏み入れる。

 見られるのは初めてではなかったが、前回はこんなに明るい場所ではなかったからか、それともいつものメルヴィとは雰囲気が違っていたからか私は焦りながら両腕で精一杯体を隠した。
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