ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 最初から傷付いていたのは彼の方だった。

 だから、謝りたかったのだ。
 そして伝えたかった、傷付けたのは私だと。

 ――だから貴方は傷付けてはいないのだと。


 その機会は意外にも早く訪れて。


『あの時はごめん』

 先に謝ったのは私ではなく彼の方だった。


 
「お互い謝り合いっこをしたんだわ。段々何に謝ってるのかもわからなくなって、それがなんだか可笑しくて。思わず吹き出して笑い始めたのは私の方が早かったかも」


 始まりがそんなだったのに、いや、始まりがそんなだったからこそ親しくなるのは早かったのかもしれない。

 
“沢山話したわ、お互いをよく知らないからこそ軽口が言えた”

「……いや、違うわね。今も敬語とか使えてないもの」


 そしてそれを彼は許してくれているのだ。
 今も、そして、あの頃も――

 
 会うのは基本あの森の外れだった。
 最初こそ場所がわからなくなったものの、案外母と住んでいた家から近かったこともあり迷うことはなくて。

『明日は沢山の人と会うんだ』
『偉い人?』
『そうかもね』
『会いたくないの?』
『上手くできるか心配なんだ』
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