ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 パッと見では気付かないような、どこか素朴でこぢんまりとした雰囲気のある小さめの扉。

 隠す意図はなさそうだが、それでも人目にはつきにくいその扉は大きな通路側からは死角になっているものの、扉の近くにある窓からは太陽の光が射し込み決して嫌な雰囲気には感じない――そんな小部屋の、扉の近くにある窓の外。

 まるであの頃の幼い少年のように縮こまって座るのは、探し求めていたメルヴィだった。


「見つかってよかったわ。あ、なんで見付けられたかわかる?」
「……」
「魔法を使ったの。凄いでしょ、これで成功したの、四回目だわ」
「……」
「メルヴィの場所が知りたいって強く願ったらね、なんだかあったかい空気みたいなものを感じたの。その方向に進んだらここに辿り着いたのよ」

 聞いているのかいないのか、一言も返事がもらえない。
 怒ってるのだと、ならそっとしておいた方がいいかもしれないと、私がただの人間だったらそう思ったのかもしれないけれど。


“お生憎様。私は魔女なのよ”

 知りたいことを、気になることを目の前にして我慢なんてできない。
 それが魔女の性で、習性で。


 私という存在だから。
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