ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 その顔がやっぱり可愛くて思わず笑うと、一瞬歪むように細まったその紺の瞳が熱を孕み、胸に触れさせた彼の手が彼の意思でゆっくりと動いた。

 横から持ち上げるように寄せられ握られる。

 決して痛くないように力加減を調整しつつ、彼の手のひらの中で私の胸が何度も形を変えた。

 
「脱がすよ」

 わざわざ私の耳元に顔を近付けてそう告げられる。
 耳を掠める彼の吐息があまりにも熱く、その熱が移ったように私の耳が熱を持った。

 どくんどくんと早鐘を打つ鼓動が堪らなくうるさい。

“心臓って耳にあったのかしら”

 痛いくらいに跳ねるその心臓に気付かれないことを祈りながら、こくりと頷くとそっと服を脱がされた。
 
“脱がされるのは二回目だけど”

 浴室で脱がされた時とは違うその優しい手つきに胸がきゅうっと締め付けられる。
 本当はきっとあの時もこうやって優しく丁寧に触れたっかったのだろう。

「すごい、綺麗……」
「ばか」
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