ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
「いえっ! そんなことはなくって」

“この不釣り合いな薬草畑はもちろん気になる。色んな推測も出来るし答え合わせだってしたいけど”

 でも。

「それよりも、メルヴィが気になって」
「俺が……?」


 溢すようにそう呟いた私。その声を聞いた殿下は、一瞬驚いたように目を見開いて。


「――ひゃっ」

 そしてふわりと掠めるように、彼の唇が私の額に降ってきた。


「あ、え?」
「ごめんね、あんまりにもリリが可愛いことを言うから」
「か、かわ……っ!?」

 その可愛いこと、がどれのことなのかはわからないが、触れられた額から熱が広がるようにじわじわと私の頬も熱くさせる。


“ちょっと魔法効きすぎじゃない!?”

 どちらかといえばポンコツ寄りの私。
 そんな私の魔法ならばいつ効果が切れてもおかしくないのに、まさか彼の行動まで強制させてしまうなんて!


そろそろ正気に戻るかと思っていたのにそのあてが外れじわりと冷や汗をかいてしまったのだが。

 
「……一緒にいれて嬉しいな」
「っ」

 ふっと緩められた表情。
 柔らかく閉じられる瞼。
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