ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 もし魔法が解けたあと購入費用を請求されたら、ポンコツ魔女の私では支払いの目処がたたないということは明白で。

「師匠みたいな魔法使いなら稼げるとは思うけど……」

 魔女や魔法使いは一ヶ所に定住しないとされている。
 それはもちろんその習性によるものなのだが、だからといってお金がなければ旅なんて出来ない。

 その為、旅の先々で楽器を魔法で奏で吟遊詩人のようなことをしたり、単発で何かの面倒ごとを解決して報酬を貰ったりして稼ぐことが多かった。

 そして魔法の威力が強いほど出来ることは増え、報酬額も上がる。

 私が数十回しても稼げない額をテオ師匠は一回で稼ぐなんてこともざらだろう。


“というか、魔法がちゃんと発動しないと稼ぐとかのレベルじゃないわ”

 現状完全無職。
 
 魔法の影響とはいえ私をここに連れてきたのはメルヴィなのだから、家賃や食費には目を瞑って貰うとしても、他人のお金で買い物をするのはやはりどう考えても色々マズイ気がした私は、パラパラと見ていたそのカタログをパタンと閉じた。


「ま! 家具がなくても困らないしね」

 そうだそうだと開き直りつつ立ち上がる。

 
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