ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 そしてついでだから、と私も言われるがまま白いシャツに黒いワンピースのようなロングスカートと、メルヴィの羽織っている布と同じ柄のボレロを着させられた。


「……ねぇ、これってお揃いって言いません?」
「ふふ、どうだろう」
「絶対言う! 絶対言うわ!?」
「街に溶け込むにはそういう格好をしないとね」
「お揃いにする必要がないって言ってるんですけど!」

“こんな、こんなまるでバカップルみたいなことして周りから痛い目で見られたら、折角の街が堪能出来ないじゃない――”


 少し恨めしそうに彼へ視線を向ける。
 庶民の服を着こなし過ぎて逆に高貴さが滲み出ているような気もするが、その堂々とした着こなしは彼が簡素な服を着なれているのだとそう思わせた。
 
 
「というかなんで王太子がそんなに着なれてるんですか?」
「よくお忍びで街に行くからかな」
「どうしてそんなに……」
「それはもちろんリリと出会うためだよ」
「なっ!」

 さも当然のようにそう告げられ、ドキンと心臓が跳ねる。

“これは調子がいいことをいって私の反応を楽しんでるだけだから!”

 
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