ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 それなのに好奇心に従順になるよりも彼から幻滅されることを天秤にかけたら、幻滅されたくないという思いが勝ってしまう。

「私、やっぱり魔女の血が薄いんだわ」

 そうでなければ、自分の好奇心より彼からの印象を大事にするなんてあり得ないから。
 
  
 いつか彼にかけた魔法が解けた時、彼の瞳に軽蔑の色が浮かぶとわかっていても、魔法がかかっている間だけは愛しいという色でだけ見て欲しい。

 そんな不毛なことを考えた私は、そっとエスコートで添えていた彼の腕をぎゅっと握り締めた。


 それに私からするのははしたないかもしれないけれど。

“メルヴィ側から来るならはしたなくないんじゃない……!!?”

「ふふ、ふふふ……」
「リリ?」

 好奇心も満たしつつ彼から呆れられないその為に。

「ふふふ、ふはっ、ふふははは……っ」
「君が楽しそうなら良かったよ」

 それが私の中に、完璧な計画が作り上げられた瞬間だった。
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