ポンコツ魔女は王子様に呪い(魔法)をかける
 少し駆け出した先でくるりと振り返り、彼へと手を差し出す。
 出された私の手を一瞬きょとんと見たメルヴィは、くすりと笑って私の手に自身の手を重ねた。

 
「ねぇ、中はどうなっているの? ゴールとかあるのかしら」
「答えを教えたらつまらないだろ?」
「それもそうだわ! 行くわよ、まず行き止まりがあるかから!」

 繋いだ手をグイグイと引っ張りながら前へ進む。

 迷路のような、というよりまさしくそこは迷路になっていて。

“誰が何のために作ったの!?”

 繋いだ手を引っ張りながら前に進む。
 二手に分かれる道を左に進み、道なりに進んだ先は残念ながら行き止まりだった。


「行き止まりがあるわ……!」
「ふふ、でもただのハズレじゃないよ。よく見てみて」
「?」

 楽しそうに声を弾ませながら指差された先には――

「…………何もない?」

 どう見ても一面の植木だけが広がっていて。

“何か隠されてるってことなの?”

 きょとんとしながら角や土との境目に目を凝らす。
 しかし目の前に広がるのは壁のように行き止まりになった緑だけ。

「一体何が……、あっ!?」
「ふふ、何かわかった?」
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