教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!

20.騎士団

「昔、騎士団は貴族主義の序列でした。イザーク様は部隊長の頃から、実力主義で部下を取り、団長になった今はその改革に成功しています」
「へえ、騎士団も教会みたいだったんだね」

 エマの仕事ぶりで今日も早々に飴を完売させたエレノアは、エマと騎士団に向かう道のりで、イザークの仕事ぶりを聞いていた。

 定番のいちご飴は残し、春のオレンジから夏メニューの桃に切り替わった初日は、いつもより客が殺到し、更に早い完売となった。ティータイムを楽しむにも良い時間だ。

 エレノアはあれから、もも飴の試作を作っては公爵邸に持って帰っていたが、イザークに会えずにいた。

(あんなに楽しみにしていたのに、あれから会えていない。忙しいのかな?)

 帰りの遅いイザークを最初は起きて待っていたものの、イザークは屋敷に帰って来ない日が続いた。起きて待つのをエマから止められ、夜ふかしをやめた。それからもイザークは屋敷にたまに帰って来てはいるらしいが、エレノアとは完全にすれ違っていた。

 発売日初日の今日も、エレノアはもも飴を一本イザークのために除けていた。

『今日もお仕事遅いのかなあ……』

 エレノアがぽつりと呟いたのを、エマは聞き逃さなかった。

『じゃあ、騎士団に突撃しちゃいましょう!』
『ええ?!』

 そして二人は騎士団に向うことになった。
< 55 / 126 >

この作品をシェア

pagetop