君だけは
「君っていいね」
タケルが、言った。
「何が?」
ショウコが、たずねた。
「えっ・・・何となく・・・」
「それじゃぁ分からないわよ」
「そう?」
「そうよ」
爽やかな風が、二人の間を通り抜けた。
「あっ・・・これ・・・」
タケルは、地面にそっと手を伸ばした。
そして、ショウコの髪の毛に手に取ったものをつけた。
「君に似合うよ。これ」
それは、四葉のクローバーだった。
「ハハハ。何だか恥ずかしいわ」
少しの沈黙のあと。
「僕は君だけは悲しませたくないんだ」
「どうして?」
「どうしても!」
「・・・ハハハハハハ!」
ショウコは、また笑った。
「どうして笑うの?」
「どうしても!」
ややあって。
「たこ焼きでも食べよっか」
タケルは、言った。
「うん!」
夕日が、二人を明るく照らし出していた。
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