恋した殿下、あなたに捨てられることにします〜魔力を失ったのに、なかなか婚約解消にいきません〜
本編
 私には、魔力量で素晴らしい未来が待っている。
 そう当初からしばらくずっと、今でさえ『魔力量があるから』と、勘違いしている者たちはとても多い。

 この国ではたびたび聖女と呼ばれる、属性のない純白のとても強力な魔力を持った女児が生まれた。生まれると名誉なことで、少しでもその可能性を期待し、貴族はもっぱら魔力量で結婚相手の価値を決めた。

 その次に、容姿もすぐれていれば尚、いい。

 魔力があっても、魔法を使う才能がなければ宝の持ち腐れだと思うのだが、平和が長らく続いている強大国ゆえか、貴族の価値観はそこにはない。

 ――そして私、エステル・ベルンディ公爵令嬢は、魔力量ランキングにより未来の王妃という席が決まった。

 国内第二位の魔力量だ。

 ちなみに第一位と第二位の下、第三位までは随分開きさえあった。

 もちろん堂々の魔力ランキング第一位は、王家の嫡男であるティファニエル王国の王太子、アンドレア・レイシー・ティファニエルだ。

 私に、と幼い頃に決まった未来の結婚相手でもある。
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