得点板から見る景色。
「欲を言えば、応援合戦とかリレーとか、かっこいい姿を目に焼き付けたかった。なのになんなのよこの仕事量の多さ」



文句をいいながらも点数を確認しながら得点板にカードを貼っていく。



「まぁでも先輩、そう言いながらも不正はしないじゃないですか」


「当たり前でしょ。沢山の人が頑張った結果を、嘘で塗り固めて掲示なんて失礼でしょ」



「ていうか津島先輩、仕事選びは失敗したとはいけ、よくそこまで好きな人のために頑張れますね。俺なら気力が持ちません」



肩をすくめる後輩にくすっと笑って、



「それはあんたのやる気がないだけでしょ」


と返す。



「それにしてもさ、ここって生徒全員から見えやすい位置だから、こっちからも全体が見渡せていい眺めよね」


得点板の張り付けが終わり、開会式も始まりだしていた。


「そういや、なんで竹井くんはこの仕事引き受けようと思ったの?」


「俺、あんまり大勢で騒ぐの好きじゃないんすよ。先輩も知ってるでしょ?」



ええ、と頷いて外に目をやると、そこには何百人分もの生徒、そして全力でやりきったという顔が。
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