得点板から見る景色。
後から後から、目頭が熱くなっていく。


「……この仕事、やらなければよかったな」


「そんな事言わないでくださいよ、先輩」


窓枠に肘をついて涙ぐむ私に、竹井くんは意外な一言を発した。


「俺、美佳子先輩と一緒に仕事したくて得点係に応募したんですから」


「……へ?」


びっくりして思わず振り向くと、竹井くんは口の端を持ち上げて言った。



「先輩、今から俺に乗り換える気、ありません?」


「え、乗り換える、って」


「言葉通りですよ。俺の事好きになりませんか、って」



竹井くんはにや、と笑う。


「俺、結構前から先輩の事気になってたんですけど」

あまりの急展開に目を丸くして固まっていると、竹井くんは慌てて訊いてくる。



「あ、もしかして体育会系がタイプだったりします?白井先輩、ガッツリそうですし」


「へ?いや……」


「じゃ、どういう人が好みか教えてくださいよ、先輩」



すすっと距離を詰めてくる竹井くんに圧を感じ、私はしどろもどろにつぶやいた。



「えっと…笑顔が素敵な人がタイプ、です」


一歩一歩近づいてくる竹井くんに合わせて私も下がっていったけれど、ついに壁へとぶつかってしまう。


「んじゃ俺、美佳子先輩の前では笑顔三割増しにしてお届けしますから」


言葉と共に不敵な笑みを浮かべる竹井くん。


………この後輩、めちゃくちゃ意地悪そうに笑うな。


好みの明るい笑い方とは違うのに、なんでドキッとするんだろう。








「絶対俺に惚れてくださいね」





あぁ、まだ失恋したばっかりなのに。










「………まだ秋でも暑いね」


竹井くんから逸らした顔が、真っ赤に火照ってる。




君のせいで、次の恋が待ち遠しくなる。















〚𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸〛


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