ドロ甘な愛を稀血に溶かして


真実を告げられないもどかしさ。

大好きな人に、婚約破棄されてしまった喪失感。

心臓をナイフでえぐられるような大きな悲しみを、俺はどう処理していいのかわからない。



辛い現実からの逃避は、寝るのが一番だよね?

まだお昼休み中だし、今から図書室に行こいうかなぁ。


いやいや、やめておこう。

あそこは安眠ができないし。



いるんだ、図書室に。

俺が苦手なタイプの子。

距離感近め。

明らかに俺を狙っているグイグイ女子。



同じ図書委員の後輩なんだけど


『お昼休みは寝かせて』


目を閉じ机に寝そべり、俺がお願いしても


『寝ちゃダメですってば~ 私と一緒に、図書委員の仕事しましょうよ!』


遠慮なく俺の腕を引っ張りあげ、俺の顔の前にスマホをガン!


『環先輩、写真見てくださいよ~ うちの黒猫ちゃん、可愛すぎじゃないですか?』
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