王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「どうして?」

「だって、今までいろんなものが空から降って来たけど、それって殿下が関係しているんじゃないかって思うのよ。あ、殿下の仕業だって言っているんじゃないのよ。殿下と婚約者のあんたのことが許せないって思ってる誰かがいるんじゃないかってこと。だってそれ以外にあんたがこんな嫌がらせを受ける理由が思いつかないもの」

「そんなはずないわ」

「エイミー」

 エイミーは首を横に振った。

 シンシアの言う通り、もしそうだとしても、ライオネルとの婚約は解消したくない。

 ライオネルに嫌われていたっていい。本当は好きになってほしいけど、それが無理なら、嫌われたままでもいいのだ。それでもエイミーは、ライオネルの側にいたい。

「このままだったら、そのうち大怪我をするかもしれないのよ?」

「気を付けるもの」

「どうしてそう意固地になるの? だって……だって殿下は、あんたのことをこれっぽっちも大切にしていないじゃない! 愛されていないじゃないの!」

「――っ」

 エイミーは息を呑んで、それからきゅっと唇を引き結ぶ。

< 129 / 233 >

この作品をシェア

pagetop