王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
☆☆☆

 泥まみれのエイミーと別れて、ライオネルは教室へは戻らずに医務室へと足を向けていた。

「おや殿下、授業はどうなさいました? さぼりですか?」

 医薬棚の整理をしていたウォルターが揶揄ってくるがライオネルはそれを無視して黙って彼に近づく。

「調べてほしいことがある」

 声を落として告げると、ウォルターの顔から笑みが消えた。

「……何かありましたか?」

「あるのかもしれないし、気のせいかもしれない。今はまだ、何の情報もないんだが……」

 ライオネルは短く、先ほどの中庭でのエイミーの様子を告げた。

 ウォルターは顎に手を当てて考え込む。

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