王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「これ、殿下に差し上げます」

「…………」

 ライオネルは一瞬、嫌がらせだろうかと真剣に考えそうになったが、エイミーは心の底からこれを可愛いと思っているようなので違うはずだと思いなおす。

「……それ、気に入ったんじゃないのか?」

「はい!」

「じゃあお前が持っていたらどうだ?」

「大丈夫です! これをもとにした特注人形は、ちゃんとお揃いで作ります!」

(どっちも、心の底からいらないんだが……)

 しかし、いらないといったらエイミーが傷つくかもしれない。

 ライオネルは渋々陶器人形を受け取ると、引きつった笑みを浮かべた。

「……ありがとう」

「はい! 肌身離さず持っていてくださいね!」

(これを、肌身離さず……)

 やっぱりこれは嫌がらせではあるまいか。

 ライオネルは喉元まで出かかった言葉を、何とか胃の中に押し込んだ。



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