王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「ここ、ここにちゅーしてください!」

「……そんなものでいいのか?」

「もちろんです! ここ、ここですよここ!」

 さあどうぞ、とエイミーはつま先立ちになって、ライオネルに向かってほっぺたを差し出した。

(まあ、こいつがそれでいいならいいか)

 ちょっと拍子抜けだったが、本人がそれで満足ならいいだろう。

 ライオネルは上体をかがめて、エイミーの頬に唇を近づける。――そのときだった。

「隙あり!」

 エイミーが素早く顔を動かしたかと思うと、ちゅっとライオネルの唇に自分の唇を押し付けて、「きゃーっ」と叫んでその場で飛び跳ねて手をバタバタさせながら踊りはじめた。

「殿下の唇!」

 ライオネルはぱちぱちと目をしばたたいて、それから片手で口元を覆う。

「お前……」

「あ、殿下真っ赤です!」

「うるさい!」

 このモモンガは、本当に予想の右斜め上を行ってくれる。

 エイミーはへらへら笑いながらライオネルにぎゅーっと抱き着いて、そして言った。

「殿下、大好き‼」

「……あー、もう!」

 この不思議で意味不明で奇天烈で――たまらなく可愛い生き物は何なんだろうか。

 ライオネルはエイミーをぎゅっと抱きしめ返して、それから小さく笑った。

「言われなくても、そんなことは知っている」




< 233 / 233 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:32

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

わたしを「殺した」のは、鬼でした

総文字数/56,909

恋愛(純愛)150ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
☆作品詳細あらすじ☆  道間ユキは、鬼や魑魅魍魎を狩る一族の道間家に生まれながら、疎まれた存在だった。  黒を尊ぶ道間家において、赤茶色の髪を持って生まれたユキは、父である道間家の当主から「処分」されるのをただ待つだけの身。  そして、15歳になったユキは、とうとう、処分の日を迎える。  雪深い山の中に薄着で放り出されたユキは、歩いているときに見つけた祠の前で、ただただ死を待っていた。  そのとき。 「道間家の女狐が」  ユキの目の前に現れたのは、鬼の棟梁、暁月千早。  千早は、死に逝くユキの首にそっと手をかけて――  死んだはずのユキは、鬼の暮らす隠れ里で目を覚ます。  ユキを「殺した」鬼、千早は、彼女に向かって告げた。  「お前は、もはや道間ではない。――お前は、鬼だ」  鬼に殺され、鬼となったユキと、鬼の頭領である千早。  二人の運命は、静かに交差する―― ※アルファポリス第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました(*^_^*) ☆狭山ひびき、発売予定(予約受付中)作品☆ 【ノベル】 2025/3/7★燃費が悪い聖女ですが、公爵様に拾われて幸せです!(ごはん的に♪)(1)(SQEXノベル) 【コミックス】 2025/2/10★悪徳令嬢に転生したのに、まさかの求婚!?~手のひら返しの求婚はお断りします!~ 1(ASTRO COMICS) 2025/2/20★婚約破棄された貧乏伯爵令嬢ですが、憧れの冷徹王弟に溺愛されています 1 (BKコミックスf) 2025/3/14★王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います 6(マッグガーデン) 2025/4/25★婚約者に「あなたは将来浮気をしてわたしを捨てるから別れてください」と言ってみた 2(秋田書店)
表紙を見る 表紙を閉じる
2024年9月にベリーズファンタジーで発売される書籍の試し読みです! どうぞよろしくお願いいたします。
表紙を見る 表紙を閉じる
2024年1月5日発売「「一族の恥」と呼ばれた令嬢。この度めでたく捨てられたので、辺境で自由に暮らします~実は私が聖女なんですが、セカンドライフを楽しんでいるのでお構いなく~」の冒頭部分のご紹介です。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop