王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~
「ここ、ここにちゅーしてください!」

「……そんなものでいいのか?」

「もちろんです! ここ、ここですよここ!」

 さあどうぞ、とエイミーはつま先立ちになって、ライオネルに向かってほっぺたを差し出した。

(まあ、こいつがそれでいいならいいか)

 ちょっと拍子抜けだったが、本人がそれで満足ならいいだろう。

 ライオネルは上体をかがめて、エイミーの頬に唇を近づける。――そのときだった。

「隙あり!」

 エイミーが素早く顔を動かしたかと思うと、ちゅっとライオネルの唇に自分の唇を押し付けて、「きゃーっ」と叫んでその場で飛び跳ねて手をバタバタさせながら踊りはじめた。

「殿下の唇!」

 ライオネルはぱちぱちと目をしばたたいて、それから片手で口元を覆う。

「お前……」

「あ、殿下真っ赤です!」

「うるさい!」

 このモモンガは、本当に予想の右斜め上を行ってくれる。

 エイミーはへらへら笑いながらライオネルにぎゅーっと抱き着いて、そして言った。

「殿下、大好き‼」

「……あー、もう!」

 この不思議で意味不明で奇天烈で――たまらなく可愛い生き物は何なんだろうか。

 ライオネルはエイミーをぎゅっと抱きしめ返して、それから小さく笑った。

「言われなくても、そんなことは知っている」




< 233 / 233 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:32

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
2024年9月にベリーズファンタジーで発売される書籍の試し読みです! どうぞよろしくお願いいたします。
表紙を見る 表紙を閉じる
2024年1月5日発売「「一族の恥」と呼ばれた令嬢。この度めでたく捨てられたので、辺境で自由に暮らします~実は私が聖女なんですが、セカンドライフを楽しんでいるのでお構いなく~」の冒頭部分のご紹介です。
聖女の身代わりとして皇帝に嫁ぐことになりました
  • 書籍化作品

総文字数/125,351

ファンタジー41ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ベリーズファンタジー様にて発売中! コミックブリーゼ様にてコミカライズの連載が開始されました! どうぞよろしくお願いいたします。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop