コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
質疑応答の時間になり、氷見が手を挙げた。

『良い企画だと思いました。』
氷見が乾を褒めたことに、水惟の胸がギュ…と音を立てて軋む。

『でもなんていうか…乾らしくないよね。どんな時にこの企画を思いついたの?』
氷見は違和感を抱いているようだった。

『それって最高の褒め言葉です!』
乾が笑顔で言った。

『思いついたっていうより、自分の企画に足りないものを考えました。先輩方や後輩のみんなが凄い企画を出してくるだろうなって思ったので、私にしか考えられないものってなんだろう?って。そしたら思い浮かんだんです。商品の個性をより際立たせるプロモーションが。』
乾は水惟のいる方を一瞥して言った。

その後の質問にも乾は流暢に答え、プレゼンはスムーズに終了した。


『では次、深山 水惟さん。お願いします。』
乾の次が水惟のプレゼンの番だった。
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