コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「だからね…これからもリバースで…あなたと仕事がしたいです。」
水惟は蒼士の手を握って言った。

「あなたが泣いちゃうようなモノが作りたい。」
「………」
蒼士は珍しく照れたような顔をした。

「…もう泣いただろ?järviのロゴの時…」

水惟は首を横に振った。

「あれはデザインの力だけじゃなくて、数年振りって気持ちが上乗せされてたから…」
「厳しいな…」


「それからやっぱり…もう一度、夫婦…ううん、恋人からでもいいから…やり直したいです…」
水惟は顔を赤らめながら言った。

「………」
「…ダメですか…?」

「でも…水惟にとって俺は…」
水惟はまた首を横に振った。

「蒼士が言った通り、私たちは結婚するのが早すぎたんだと思う。」
水惟が言った。

「蒼士に好きになってもらえて、結婚できて…でも、それに見合う自信が全然なくて。会社でもパーティーでも会食でも、ダメな自分を突きつけられるたびに…蒼士の気持ちを疑うようになってた。」

「俺の気持ち?」

「うん。“私のことを好きだなんて何かの間違いかもしれない”とか“気の迷いで結婚してくれたんじゃないか”とか…好きって言ってくれるのを信じきれなくて…だから、仕事も家事も頑張らないと捨てられちゃうって思って…今思うと頑張りすぎてた。」
水惟は恥ずかしそうに笑った。
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