コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
***

一年後

「「おめでとー!」」

リニューアルオープン後のjärviで、水惟と蒼士の再婚パーティーが開かれていた。
二人が元夫婦で復縁したことを知ったオーナーの湖上は、驚きながらもとても縁起が良いと喜んで、仲間内だけのパーティーの場としてjärviを提供してくれた。

järviのリニューアルオープンはプロモーションも含めて話題になり、広告賞やデザイン系の賞も受賞した。

「水惟〜かわいいー!」
Aラインの白いワンピースに身を包んだ水惟を冴子が例によって抱きしめた。

「水惟にしては緊張してないじゃん。」
ファインダー越しに芽衣子が言った。

「…この間の結婚式が凄すぎて…なんかもう、あれより緊張することって無いかも…」

晴れて再び入籍した二人は、前回の結婚のときに先延ばしにしていた結婚式を今回は早々に執り行った。
深山家の結婚披露宴は規模が大きく、政財界の大物も何人かいるようなものだった。
その際に親しい仲間とあまり話ができなかったこともあり、今回のパーティーが開かれた。

「髪はまた黒くしたのね。」
「うん。今回は頑張りすぎないって決めてるけど、少しは合わせていくつもり。」
(それに…)
黒い髪の方が、蒼士にプレゼントされたあのワンピースが似合うからだ。
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