コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
「水惟、おめでとー」
「アッシー。ありがと。」

「やっぱ二人ともまだ好きだったんじゃん?俺の目に狂い無し。」
「なんか腹立つけど…そうだね…」
水惟は悔しそうに言った。

「つーか水惟、人妻に戻ったんだよな〜」
———ボスッ
「うっ」

ニヤつく啓介のお腹にパンチを入れたのは芽衣子だった。

「あんたはこんな場でもそのノリなわけ?」
「冗談じゃん。俺にはメーちゃんだけだよ〜」
「うざ…」

二人のやりとりに水惟はクスクスと笑みを溢した。

「水惟」
グレーのタキシード姿の蒼士が水惟の分の飲み物を持って来た。

「大丈夫か?」
「うん、ありがとう。」

「疲れてたら控え室で休んでても…」
「も〜大丈夫だって!過保護だなぁ…」
水惟が困ったように笑って言った。

「心配するに決まってるだろ?」
蒼士は溜息混じりに言った。

つい一週間ほど前に水惟が妊娠していることがわかった。

「もう無理はしないから、安心して。」
「辛いときは、ちゃんと俺に相談して。」
水惟は微笑んで頷いた。


仲睦まじい二人を見て、洸と蛍の生川夫妻はまた“親心”で涙を流していた。
それを見て、水惟と蒼士は困ったようにまた笑い合った。


fin.

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