コーヒーにはお砂糖をひとつ、紅茶にはミルク —別れた夫とお仕事です—
***

「藤村さん、この展覧会—」
「ごめんなさい、先週末観に行っちゃいました。」

「この個展—」
「観ちゃいました…すみません!」

「今やってる映画—」
「友達と約束しちゃってて…」

蒼士は最初に断られて以来、何度も水惟を誘っていた。
自分でもなんとなくムキになっているのはわかるが、水惟の普段の態度との整合性の無さが気になってしまう。

「藤村さんて…勉強熱心なんだね。」

また断られて言った言葉が嫌味っぽくなってしまったかもしれない…と、一瞬後悔して水惟の方を見た。

「え…あはは……ありがとうござい…ます…」
気まずいような、嬉しそうなような、ホッとしたような…不思議な表情をしている。

(この感じ…)

(洸さんの言う通り自意識過剰?恥ず…)

< 202 / 214 >

この作品をシェア

pagetop