ほどほどに愛しなさい
「そうじゃないけど…正直、僕は自分でも退屈な男だな、という自覚はあるし、ぴーちゃんみたいにモテる人にとっては、刺激が足りないかもしれないから」

「今更何を言ってるの。もし退屈だったら、結婚せずに別れてるわよ」

「あ、そっか。一度、フラれてるもんね」

いたずらっぽく言われ、思わずポカスカやってしまう。

「そういう、ちーちゃんこそ…どうなの?」

「ん?」

「二人の間に波風が立ったのって、それこそあの短い別れだけでしょう。もっと情熱的な恋がしたかった?」

じっと見つめてそう問いかけると、

「あんまりそう見えなかったかもしれないけど…あの頃の僕にとって“三井さん”との恋は、いつだって、燃えるような熱愛だったよ」

そう言って私を見つめる瞳は、優しさと穏やかさの他にも、熱く燃える何かが見える。
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