辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
第一章 ハードモードな人生の始まりなようで
「あ、あ、兄上……! ちょっと……待って……!」

 はるか後方から、弟であるメルリノの声が聞こえてきて、ラース・カストリージョは足を止めた。

 ここは辺境カストリージョ。領主である辺境伯の城とその周囲にある城下町を一歩離れれば、魔物が闊(かっ)歩(ぽ)する地である。

 足を止めたラースは、弟を待っている間に、腰に下げていた水筒から一口水を飲んだ。

(……今日は、魔物が見つからないな)

 このあたりの地では、魔物の肉が一般に食されている。

 それは辺境伯家でも変わりがなく、辺境伯家の長男であるラースも、魔物を狩りにしばしば森に入っていた。

 十七という年齢の割に背が高く、身体つきもしっかりしているのは、次期当主として真面目に身体を鍛えているからだ。辺境伯家の当主は、辺境騎士団の団長も兼ねているのである。

< 7 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop