love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~

まず、甲斐よりはじめよ


「美玖、目開けて」
 耳慣れたハスキーな声で呼ばれて、一度目を開ける。少し高い位置から甲斐の明るい瞳がこちらを見ていて、私の口許に視線を向けてくる。
 でも、恥ずかしさと、理解の難しい状況への適応力が足りないこともあり、再び固く目をつぶる。

 だって、あまりにもあり得ない試みをしているのだ。
 学校の屋上で風にあおられながら、私たちは、生き残るためにキスをしようとしていた。

「いや、そこまで拒否られると。さすがに傷つく」
「拒否じゃ、ない。やんなきゃ先進めないんだから、さっさとやってよね」

 私が言うと、甲斐は、
「分かってる」
 と言って頭を掻く。
 肩に手が添えられるのが分かったし、甲斐が深呼吸したのが分かった。素潜りでもするの?というレベルの深呼吸に、面白さを感じてしまい、笑いがこぼれてしまう。

「どんだけだよ」
 と目を開けて私が言えば、
「うっせぇ。けど思ってた以上に、いけないことしてる感じするな」
 と甲斐も言う。

「ほらなぁー、私があり得ないからだって。そういう対象じゃないって、甲斐こそ身体が知ってる」
 私が言ったら、甲斐は眉根を寄せて、首を横に振る。

「そう言って逃げんなよ」
 と言うのだ。
「逃げてんのはどっち?甲斐こそ、腰抜けじゃん」

「うっさ、逃げてねぇ」

「時間かかりすぎ」
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