love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
「そろそろ、ちゃんと付き合いたいんだけど」
横並びで歩く状態で、前を見たまま、甲斐は言った。夕闇で表情はハッキリとは見えないけれど、少なくともからかってはいないようだ。
とはいえ、口ぶりが、まるで前から考えていました、という風に聞こえたので、かえってバカにされている気分になる。
なにそれ、と私は言った。
「約束とか優先しやすいじゃん」
と甲斐が言うので、私はしばらく前に、甲斐のグループから邪険にされてきたことを思い出す。
「優先、何のために?こっちは断られまくり。仲間外れだったよ」
と私が言うと、甲斐は、
「そんなことねぇよ」
ぶっきらぼうに言う。
甲斐のことが嫌いなわけじゃない。仲のいい知り合いであるのは事実だ。
けれど、どんなことも、「身内だから、許してくれるよな」という感覚で言っているのであれば、正直ごめんだった。
「私好きな人がいるし、付き合う話も出ているから。そろそろ、子ども時代からはサヨナラかなって」
と私は告げる。
そのときの、甲斐の驚いた顔は見ものだった。
え、と言葉を切り、そのまましばらく沈黙する。
「それにさ、近くにいるからって、私のことをアリとかナシとか。勝手に品評会されるの、ホントムカつくから。ナシだって知ってる。でもそれって、あえて言うこと?」
私がそう言ったら甲斐の瞳の光が揺れたので、傷つけたのだと思った。
一瞬間違った判断だったのかもしれない、と思う。
でも、甲斐の部屋から追い出された経験もあるし、仲間内で貶されていた事実はある。
こっちだって、ない、と突きつけたっていいはずだ。