love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~

「前に話が聞こえた。悪いけど、私も甲斐はないから。あんた達のいう、たつとかたたないとか以前に、こっちはキスとかも無理だから。高校になって、甲斐がクラスに誘いに来なければ、幼なじみだなんてバレなかったよ。いじられなくてすんだ。近くにいるからって、バカにするのやめてくんない?幼なじみって、そんな偉いわけ?」

 燻ぶっていた感情を吐き出したら、想像以上にきつい言い方になる。きっと、これには甲斐も喧嘩腰で返してくると想定していた。


 でも予想外に甲斐は冷静で、
「お前。たつとか、でかい声で言うなよ」
 と諫めるような声で言う。

 そして、
「今美玖のことがアリだって言ったら、何か変わる?」
 と返された。
 好奇心で光る明るい目が、こちらをじっと見ていて、私の反応を待っている。
 小さいときに面白いものを見つけたときに、じっと見つめるその目だ。

 アリだって言ったら?
 アリというのは、恋愛したり、もっと先の経験をしたりすることだ。
 先輩達から、「甲斐とやった?」と聞かれた中学時代のことを思い出す。
 その世界観自体が私からすれば、ナシだった。

「変わらない、甲斐は幼なじみで、一生幼なじみ」と私が言ったら、
「そっか、じゃあ仕方ない」
 と甲斐は言う。
 そのまま無言のままで歩いた後、家の前で別れる。


 おやすみ、とお互いに言って部屋に入った後で、私は大和先輩との約束を確認した。

 私はこうして幼なじみの甲斐を振り払い、大和先輩とデートすることになる。

 そして、翌日の初デートで事故に遭い私は死んだ。

 これが、私の受難のスタートだった。
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