love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
「な、なに、どうしたの?」
 こんな甲斐の焦った様子も、どこか切実な様子も初めて見た。

「事故、あっただろ。美玖、バスに突っ込まれた」
 と甲斐は息も切れ切れで言うのだ。
 バスに突っ込まれた記憶はあったけれど、だとすれば、何で生きているの?と思う。

「バス事故で、あ、人生終わった、と思ったんだけど」
 私が言えば、甲斐は眉根を寄せた。じっと私の顔を見て、頭の先から頬までを両手のひらで撫でてくる。
 ちゃんと輪郭ある、生きてる、と言うのだ。

「どういうこと?」
 私の呟きに、甲斐はすぐには答えない。

 わり、オレがもう少し粘っとけばよかったな、と言いながら、頭を撫でてきた。妙にドキッとしたので、
「なんか、一人で理解してて、偉そう」
 悔し紛れに言ったら、「だな」と甲斐は笑う。

 深呼吸をして一旦呼吸を整えてから、
「じゃ、知ってること、話すわ」
 と言うのだった。
< 13 / 109 >

この作品をシェア

pagetop