love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~

ルール確認

 先輩と遊園地にデートに行った帰り道で、「佐久良、オレと付き合ってくれる?」と聞かれて、「もちろんです」と返事をする。
 先輩と手を繋いで帰るけれど、初めての貝殻繋ぎをしたのでドキドキした。

 家の近くの交差点で別れ、横断歩道を渡りはじめたら、バスがよろよろと怪しい動きをしてきて、交差点で止まることなく急発進してきた。
 気づいたときには、バスの巨大な車体が真っすぐに突っ込んでくるのが見えた。逃げる体勢でもなく、もう距離もない。

 あ、これ、死ぬ。と分かる。
 人生って割とあっさり終わるんだな、というのが感想だ。

 気づいたときには神社の境内にいて、本堂の注連縄を眺めていた。
 今のこれが夢なのか、そもそもさっきの事故が夢なのか、私は自分の感覚が分からなくなる。

 さわさわと木々が風に揺れた。
 ぼんやりと神社の清浄な空気を感じていたら、ザっと土を蹴る音がする。

 ふり返ると、パーカーでスウェット姿の甲斐が石段を登って来る姿が見えた。
 私の方を見て、あ、と声をあげる。
 駆け寄ってきたかと思えば、スピードを緩めることなく、そのまま抱き着いてきた。

 半袖から伸びた腕が触れて、甲斐のしっとりとした汗を感じてドキッとする。
「なに?」
「良かった、生きてた」

 息を切らして、どこか切実さがある口ぶりで甲斐は言った。頭に手を添えてきつく抱きしめられて、驚く。こんなことされたことはない。

 甲斐の首元からは、制汗剤の匂いがした。
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