love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
「先輩、力強かったな。甲斐にも力じゃ敵わない、ズルいな」
 と私は甲斐に言った。

 きっと、本気の喧嘩はできない。
 甲斐は本気ではかかってこないし、私が敵うわけもないから、相手にもしない。とても、悲しいことのような気がした。

 私がそう言ったら、
「いや。格ゲーとかFPSゲームなら、美玖激つよじゃん」
 と甲斐が言ったので、その日は甲斐の部屋でゲームをすることになったのだ。

 甲斐はいい奴だ、と思う。だからこそ、恋愛とかは「ない」と思った。
 恋愛になったら、嫌いになって別れが来るかもしれない。
 仲良くいられればそれでいい、と思っていたのだ。

 だから、甲斐のことが気になるという友達や、女子がいれば、それとなく繋いでみることもあった。甲斐は同年代と比べると大人びて見えるせいか、意外に女子から人気がある。甲斐と距離が近いと思われている私に、探りが入ることが多い。

「秋津って彼女いるの?」と聞かれても、甲斐の恋愛事情なんてまったく分からないので、甲斐に丸投げする。
「~が甲斐のこと、気になるって」と言って。

 そして、後から女の子の方に、「感触どう?」と聞けば、「ノリ良いし、いい奴だけど。本音見えないよね、秋津って」とみんな口をそろえて言うのだ。

 甲斐に聞くと、いつも不機嫌に「美玖に関係ねぇ、余計なことすんなよ」と言う。
 イヤそうだな、と感じたので、恋愛の話や恋バナみたいことを、甲斐とするのはやめるようになった。
 ことを荒立てるような、仲良くいられない要素は、入れ込まないようにしていたのだ。
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