love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
「美玖?」
 と言って、甲斐が不思議そうな顔をする。
 朗らかに光る瞳には、なんの悪意も浮かんでいない。おかしいのは、今さら甲斐の変化を意識する私の方だ。

 助けてくれてありがと、とは一応言っておく。
「今日うち来る?」

 私たちの遊びは甲斐の部屋でゲームをしたり、たまに一緒に買い物に行ったり、そんなものだ。子どもの頃から変わらない距離感で、たいして代わり映えのしない遊びをしている。

 ひょっとしたら、甲斐はそんなのじゃなくて、それこそ誰かと恋人みたいなことをしたいんじゃない?と思った。
「いかない」

 と言ったら、
「警戒してんじゃん、なんもしねぇよ」と言われる。
 甲斐は勘がいい。

 だからこそ、そのときはイヤだった。
 甲斐の発想の中に、先輩の言ったことがあること自体がイヤだったんだ。

 そういう世界に甲斐とは行きたくない、と思った。
 甲斐にはぬくぬくと優しい子ども時代にいて欲しい。

 だから、甲斐との関係をまるごと、子ども時代に閉じ込めることにしたのだと思う。
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