love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
「現場見た?」
と言ったら、甲斐は黙って頷いた。
「じゃあやっぱあの声は甲斐だったんだ」
と私は言う。
甲斐が私の名前を呼んだ声が聞こえた気がしたんだ。
甲斐は眉をひそめ、鎮痛な面持ちになる。私の頭から足の先までを視線でなぞって来た。
「現場見てたら。今の私、ゾンビみたいに感じる?」
「感じない、生きてて良かったって思うだけ。けど」
息のような声で、ごめん、と謝るのだ。
「甲斐は何も悪くないよ」
と言って、肩を叩く。
事件が起こったのは、甲斐と別れて帰る途中の出来事だった。
たまたま私は寄り道をして帰ることになり、そのタイミングで起こった事件だ。
早い時間から酔っぱらっていた連中にぶつかってしまい、絡まれたのを覚えている。
大人しく謝っていても、離してくれなかったから、強気に出たら人気のないところに連れ込まれた。
そしてどっちが先かと言えば、「それ」が先だったんだろう。
だから、私は死んだ。
暴行事件のはずが、暴行殺人になったのは、多分、このルールのせいだと思う。