love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
「アイツらのは――――」
 それを告げたら、甲斐が息を飲むのが分かる。

 続けて、細かい状況をと私が言ったら、甲斐は唇を噛み締めて眉をひそめた。

 甲斐は深くため息をついて、自分の手の平で、その両目を覆う。
 なんで、と息のような声で言うのだ。

「やめよう、甲斐」

 甲斐は首を横に振った。

「死ぬよりマシだろ、オレを憎んでもいいから」

 眉根を寄せて、絞り出すような声で言う。
 こんな甲斐を見たことがなかった。

「ごめんね、甲斐」

 それから、甲斐の手が身体に触れてきて、次から次へとクリアしていく。

 わるい、本当、ごめんな、美玖――――

 甲斐はずっと謝っていた。

 甲斐が悪いわけじゃないのに。

 悲しまないで欲しい、謝らないで欲しい。

 ごめんね、って思うのは私の方だ。
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