love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
 そういう対象として名前をあげられること自体が、正直不名誉だった。

 たまたま男女の幼なじみってだけなのに、中学の頃から好奇の目線を向けられる。

 気づいていたけれど、付き合ってるとか好きだとか、そんな話が出たときには、甲斐がしれッと流していて、どうでもいいって顔をしていた。どんな話があっても、甲斐が相手にしないでいれば、私もそれでよかったのに。

 アリかナシか?
 そういう話の中に、私を入れ込んできたこと自体に、嫌悪感があった。

 このまま一緒にいたら、ずっとセット扱いで、邪険にされつつ、周りからはいじられて、腐れ縁を維持しつづけることになる。
 そんな風になるのは、イヤだった。

 幸い、しばらくしてから部活で一緒の大和先輩と親しくなり、甲斐と過ごす時間は減る。

 部活のない週末に甲斐に誘われても断ることが増えたし、甲斐の仲間と関わる機会はもっと減った。

 いつだって甲斐の所在を口にしてきて私たちをニコイチでセット扱いしてくる奴らと距離を置いたことで、私も干渉を受けることなく、自由に人と付き合ってもいいことに気づく。

 そんなときに大和先輩から、「佐久良のこと、好きかもしれない」と言われて、人生で一番のワクワクを感じた。
 だからその後、一時の感情に任せて、バカみたいなことを言い始めた甲斐に腹が立ったのだ。
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