love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
 石段を登った先に、ジャケットを羽織ったスーツ姿の甲斐を見つけたので、思わず走っていって飛びついた。

「生きてた、良かった!」

 私がきつく抱きしめると、甲斐が、「え?美玖」と驚いたような声を出す。

 ふり返った甲斐は、家を出かけたままの姿で、どこか信じられないような顔をして私を見ている。

「飛行機、落ちたよな?」
 と言うのだ。
 私は頷いて、さっきニュース見たの、と言う。

「まさか、これ逆のパターン?」

「分かんない、でも。生きてて良かった」
 もう一度抱きしめて甲斐の体温を感じたら、嗚咽が止まらなくなってきた。生きていて、良かった。
 甲斐がいなくなったら、どうしようと思った、と泣きじゃくりながら、話す。

 とってもダサい。
 でも、心から安心した。

「なんだ。美玖って、オレのことちゃんと愛してるじゃん」
 甲斐はそう言って、頭を撫でてくれる。
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