冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
砂羽の頭上で鳴る目覚めを促すアラーム音に眠いながら手を伸ばす。

スマホのアラームの通知オンをOFFにして、布団の中から天井に向けて手を伸ばして、体を目覚めさせて起き上がった。

肌寒くなってきた秋も終わりを迎える頃、温まっていた体は寒く感じる。

「うっ、寒い」

また、布団の中で温まってもう一眠りできそうな時間である。

肌寒さに負けて、布団に包まりたい衝動になるが、砂羽は頬をパチンと叩き気合いを入れた。

起きる理由があるからだ。

顔を洗い、歯を磨き、軽くストレッチをして体を目覚めさせていく。そして、着替えた後は、肩甲骨まで伸ばしている髪を邪魔にならないように後ろで一つに結び、イヤホンを耳につけて、お気に入りの曲を流し、ランニングシューズを履いて玄関ドアを開けた。

いつものジョギングコースで、顔馴染みのジョギング仲間と言っても挨拶程度の仲だが、『寒くなりましたね』とか、当たり障りのない挨拶ですれ違う。

吐く息は白く、生暖かい息が頬を撫でていく。

大きな交差点に差し掛かった時、乳母車に大きな荷物を乗せて、それをおす腰の曲がったおばあさんが横断歩道を渡っていた。
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