愛する人と暮らす初めての日
彼女の過去
 休憩を上り、少尉の部屋に向かう。
 いなくても勝手に入っていいということだったが、行くと既に少尉がいた。
 彼は書類作業していた手を止め、俺達をソファに座るように促す。

 それから午前と同じように雑談をしていると、いきなり少尉の表情が真剣なものに変わり、俺に目配せしてくる。
 いよいよ聞くのかと、少し居住いを正す。

 そして彼女は大丈夫だろうかと視線を向けると、リーベは俺達の様子を不思議そうに見ていた。


「リーベにとって嫌な記憶だろうから、答えたくなかったら答えなくてもいい」


 少尉の言葉を聞いて、あの部屋でのことを聞かれると分かったらしい彼女の体がこわばる。

 安心させるように手を繋ぐ。
 すると、ほんの少しだけ彼女の体のこわばりが安らいだように感じる。

 けれど表情は不安そうで、口元をきゅっと噛んでいた。
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