愛する人と暮らす初めての日

「リーベさっきのこと怒ってる?」

「さっきは悲しかったけど、今はもう平気」


 彼女が幸せそうに俺の背中に手を回してくる。
 けど俺はリーベが怒ってないか心配で「本当に?」と何度か尋ねてしまう。

 すると彼女がくすくすと笑いだす。


「何がそんなにおかしいの?」

「ううん、なんでもない」


 とりあえず本当に怒ってはいないようだが、何がおかしいのか分からず、彼女の名前を呼ぶが何も答えてくれない。

 そのままリーベが更にくっついてくる。
 顔は見えないが、なんだか嬉しそうにしていることは伝わってくる。

 徐々に眠気が襲ってきたのか、彼女があくびをする。


「おやすみ、リーベ」

「おやすみ、リュカ」


 彼女のおでこにキスを落とす。
 そしリーベは俺の腕の中ですーすー、と寝息を立て始める。

 そんな彼女を愛おしいと思いながら俺も眠りにつく。
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