俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「それで、この後どうするんだ?」
「それは・・・」

逃げ出した碧が行くところなんて同期の岡田優紀の所しかない。
仕事が終わったら迎えに行って話をするしかないだろう。

「少し一人にしてやったらどうだい?」
「え?」

そんなことをすれば碧は俺の元から離れて行くかもしれない。
それだけは絶対に嫌だ。

「あんまり押してばかりいると、逆に逃げられるよ」
「じゃあどうしろって言うんですか」

普段職場で声を荒げることなんてないのに、俺は高杉先生に詰め寄っていた。
それだけ俺自身にも余裕がないってことだろう。

「彼女にも少し考える時間をあげたらいいよ。彼女の意思で君の元に戻ってくるまで待った方がいい」
「しかし・・・」

下手をすると、俺は碧を失いことになりかねない。

「大丈夫、僕が保証するから。少し放置してみなさい。ただ、鈴木先生にはくぎを刺しておいた方がいいな。随分意地悪しているみたいだから」

円とは幼馴染で、お互い気兼ねなく何でも言える関係だ。
まさか碧に意地悪しているなんて思ってもみなかった。

「わかりました」

高杉先生の提案に、もちろん迷いはある。
しかし、碧が不安な気持ちのままでは俺たちはいつ終わってしまうかもわからない。
強引すぎる同居も、俺が押しきるように始まった恋人関係も、碧が実際どう思っているのかはわからないし、少し時間を置いて冷静に考えるのもいいのかもしれないな。
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