俺様同期の溺愛が誰にも止められない
母さんが開けておいてくれたのだろうと勝手に理解した私は、入り口から入り診察室へと向かった。

ガチャッ。
ゆっくりと扉を開き私の職場となる診察室へ。
事前に母さんが掃除をしてくれていたらしく床もピカピカで、カーテンもあけられている。

「おはようございまーす」
誰もいなととわかっていてもつい声が出てしまう。
しかし、

「おはよう」

え、えええ。
なぜか返事が返ってきた。

恐る恐るドアを開けると、目の前には白衣の背中。

お父さん。
一瞬そう口に出しそうになったが違った。

「お帰り、碧」
「何で?」

ゆっくりとこちらを振り返った人物、それは間違いなく素晴だ。

「どうして素晴がいるの?」

呆然と立ち尽くした後、私はやっと言葉にした。

「僕もここで働こうと思ってね」
「そんな・・・」
< 194 / 198 >

この作品をシェア

pagetop