俺様同期の溺愛が誰にも止められない
ブブブ
今度は着信。

「もしもし」
相手が学生時代バイトでお世話になったコンビニの店長からだとわかり、影井に断ってから電話に出た。

『碧ちゃん、すまないけれど今日の午後って・・・』
「バイトですか?」

大学を卒業すると同時にバイトはやめたものの、家族経営のコンビニのため人手が足らないと短時間だけのバイトを頼まれることがある。
飯島先生同様大阪に出てきてお世話になったコンビニの店長の頼みだけに無碍にもできず、都合が付けば手伝うことにしているのだ。

『予定していたバイトが2人とも体調不良でね。いつもなら家内や母が変わるんだが、今日は子供の入学式なんだ』
申し訳なさそうに声を落とす店長が、本当に困っているとわかった。

「いいですよ」
『いいのかい?入学式か終わったらすぐに戻ってくるから』
「ゆっくりして来てください。私は夕方までいますから」
『悪いね、ありがとう』

大丈夫ですよと電話を切った私は、影井と目が合った。

「何か言いたそうね」
大体予想はつくけれど、できれば聞きたくないな。

「いや、いい。それにしても、お前って大概損な性格だよな」
「仕方ないじゃない。学生時代からお世話になったバイト先の店長が困っているから応援に行くの。だから病院には黙っていてね」

うちの病院は副業禁止だから、見つかるとマズイ。

「言える訳ないだろう」

その後も影井は不満そうにブツブツと言っていたが、私は聞こえないふりを貫いた。
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