俺様同期の溺愛が誰にも止められない
桜は別れの花
「カンパーイ」

新郎の恩師でもあった内科部長の音頭で始まった結婚披露宴は、堅苦しいことはしたくないとの新郎新婦の意向で、上司の長い挨拶や友人たちの余興もない大きな食事会のようなパーティー。
会場ではみんながそれぞれに食事と会話を楽しんでいた。

「こういう結婚式も悪くないわね」
右隣の席に座っていた優紀が、シャンパングラスを片手にあたりを見渡している。

「なんだか職場の飲み会みたいだけれど、気兼ねがなくていいわ」

結婚式と言えば、両家のご両親と職場の上司が顔を並べて出席していて気を使うことも多い。
大学時代の友人も職場の同僚も病院の関係者が多く挨拶回りも大変だし、誰の結婚式に行っても出席者の面子があまり変わらないから毎回同じ格好にならないようにと着ていく物一つとっても気を使う。

「そのワンピース、大学卒業の謝恩会で着ていたものでしょ?」
「う、うん」

ほら、優紀には気づかれてしまった。
謝恩会で会ったのは同期だけだし、3年も前のことだから覚えていないと思ったのに・・・

「ちょっとかわいすぎるわね」
「しょうがないでしょ、この時期に着れる服って他になかったんだから」
私は無意識のうちに唇を尖らせていた。
< 4 / 198 >

この作品をシェア

pagetop